担当とは決めるものじゃない、落ちるものである①
ド新規トラジャ担になった私はしばらくの間『箱推し(元太ひいき目)』で生きていた。
みんな可愛くてみんな大好きで担当なんて決められない!箱推しでいいじゃない!箱推し最高!……とはいっても、ずっとそうも言ってられないのが現実である。
誰担ですか?同担大丈夫ですか?ジャニオタの挨拶ともいえる質問に口ごもるわけにはいかないだろう。
そこで私はなんとか担当を決めることにした。
を読んでもらえばわかる通り、私は元太の顔がめちゃくちゃ好みだ。
和っぽい顔立ちで黒髪の似合うおしゃれなイケメン、なのにおバカさんで犬っぽい。好き。好きしかならん。
しかもショタ時代からの圧倒的な第二次性徴によくわからないむず痒いものを抱えており、完全に松田元太独走状態。こりゃ担当もほぼ確定だと自分でも思っていた。
しかし、幼稚園以前からの付き合いである幼馴染の意見だけは違った。
「やっぱり元太なの?」
「話聞いてると元太より、うみんちゅか如恵留くんのが好きそうに思える」
さすがは長い付き合いである。私の心の中の矛盾を、彼女はしっかりと見抜いていた。
この時点で既に自分でもなんとなく気付いてはいたが、私が元太に抱く感情は誰かを推すというよりも庇護欲に似た母性本能をグリグリとされるものだった。
もちろんそういった感情を誰かを推すきっかけにする人も沢山いると思うし、それもわかる。でも私はそういうオタクではなかった。
推しの条件はまず第一に顔。
そして
「本当にお前はぁぁ!!!!!!くそぉぉぉー!!!!!」
と叫びたくなるようなタイプの男が好きだった。もう少しはっきり言うと、女をダメにしそうな感じの男が好きだった。
そう。トラジャでこのポジションなのは中村海人、うみんちゅである。
しかも彼もまた顔が良い。顔の好み的には元太に迫る勢いで好みだった。そしてなんかやばい。上手く言語化出来ないが、とにかくなんかめっちゃやばい。
知人に過去のうみんちゅフォトセを頂き、(くっそ…顔がいい…!)と悔しい顔で天を仰いだりした。それは今でもやってる。
こうして担当候補は元太とうみんちゅの2人になり、(やっぱり色々言うても決め手は顔だよな)(好きな顔は強い)と納得しかけていた時。もう1人、どうしても気になってしまう人物がいることに気付いた。
幼馴染の言葉を思い出して欲しい。
「話聞いてると元太より、うみんちゅか如恵留くんのが好きそうに思える」
そう、川島如恵留だ。
しかしここで圧倒的な矛盾が生じる。私が好きな顔は元太やうみんちゅのような和っぽい犬顔である。如恵留くんはとても美形だけれど、ハーフのような目鼻立ちは個人的にはあまり好みではなかった。そして、何より彼には女をダメにしそうな要素が何一つとしてなかった。優しくて強い、誠実の国の王子様だ。
それなのに、なぜ。
3人目の候補、ダークホース川島如恵留の登場により、私の『担当なんて決められない問題』は更なる混沌へと加速しながらクライマックスを迎えることになる。
理屈じゃない。